プロの住宅レシピ 暮らしに寄り添う、“ちょうどいい”が詰まった住まい
山口 純
こちらの住まいのLDKでは、家族が快適に暮らせる「ちょうどいい」が詰まっています。
まず、ちょうどいい室温維持です。断熱をしっかりと行い、天井のスリット部分で屋根裏も換気できる全館換気システムを設置することで、家全体の温度が一定に保たれ、エアコン2台で家全体の空調が賄えます。無駄なエネルギーを使わず、心地よい室温が維持されます。
次に、室内の明るさです。明るすぎず、ちょうどいい光の量を取り込むため、窓は必要な場所にだけ設け、過剰な採光を避けました。カーテンやロールスクリーンは設置せず、窓から見える植栽を楽しめる設計にすることで、緑と自然光を取り入れながらも、外の視線を気にせず過ごせます。また、夜は柔らかな照明で、空間全体が穏やかで心地よい雰囲気に包まれます。
そして、白と木材のバランスにも配慮しています。壁と天井を白で塗装し、シンプルで落ち着いた空間に仕上げ、造作家具やキッチン、本棚には木材を使用し、自然な温もりをプラス。木の素材感が強調されすぎず、白とのちょうどいいバランスを取ります。床材には地元の杉を採用し、手が触れる部分には本物の木を使うことで、自然の素材に触れながら暮らす心地よさも大切にしました。
最後は家族間の距離感です。1階と2階を明確に区切らず、2階の子供部屋が吹き抜けを通してLDKと繋がる設計にすることで、家族の気配を感じられる、ちょうどいいつながりを実現しました。無理をせず、暮らしに寄り添う「ちょうどいい」住まいとなりました。
Photo : 善家 宏明(ROMPS)