プロの住宅レシピ 変形地に建つ、水平ビューが美しい平屋
変形地という敷地条件と希望の間取りを考えたときに、希望していた平屋を諦めていたというお施主様。
実際に敷地を見に行かせていただいた時に、「コンパクトな平屋にすればいけるのではないか」ということで、ご希望のバイクガレージをもつコンパクトな平屋をご提案しました。
コンパクトながらも、暮らしの中心であるLDKは広く感じるよう工夫しています。
まず、「機能の兼用」することで、限られた空間を有効的活用しています。
例えば、玄関ホールを兼ねた廊下はすぐにLDKの一部になるように構成。一体となる空間で、面積以上の広さを感じます。畳スペースでは、キッチンの背面が背もたれになるようにデザイン。座るとちょうど肩ほどの高さになるので、キッチンのシンクは、サイドテーブルのように使えるため、ちょっとした置き場としても便利です。子どもの部屋では、廊下とクローゼットを兼ねた場所に二段ベッドのロフトにすることで、最低限のパーソナルスペースを確保しました。
そして最大の特徴は、北側に広がる水平ビューを活かし、室内に取り入れた大きな窓です。
一般的には南側に大きな窓を設けますが、この住まいでは北側を全面に開き、直線に広がる景色を取り込みました。サッシは構造の柱をそのまま現しとし、通常壁になる部分にも開口を確保しています。
開口前に設けたカウンターには、壁の中にL型の鉄板を入れることで、カウンター下の仕切りや柱が不要に。天板は薄く、仕切りや柱を持たないことでカウンターの存在感が消え、自然と目線が景色に向かいます。
外に広がるウッドデッキは、窓から一段下げた場所に設けることでデッキが隠れ、田園風景を遮りません。風景がより美しく見えるよう、敷地の高低差を活かし、水平ラインを強く意識したデザインです。
最近は気候も大きく変化し、特に夏の暑さ対策は必須です。敷地環境を考えながら、今後は間取りの考え方自体もかなり変化してくるのではないかと考えます。
無理に南へ開こうとするのではなく、その土地の良い場所を活かして窓を設けることが、住まいづくりにおいて大切だと思います。北側に大きく開くことで、直射が入らず、どの時間帯でも明るく気持ちのいい暮らしを叶えるた事例のひとつになりました。
Photo : 森田真悠