プロの住宅レシピ 子どもが大好きなファミリークローゼット

田野 宏昌・友藤 桂子
この住まいでは、LDK横に設けたファミリークローゼットが、単なる収納の場としてではなく、ひとつの居場所になるようデザインしています。
ファミリークローゼットでありながら、LDKとつながるようにL型のガラス窓を設けました。
この窓は引き戸になっていて、開け閉めができます。クローゼットの中に入ると、まるで小さなお家のようで、子どもにとってのお気に入りの居場所に。窓を介してお店屋さんごっこをしたり、会話が楽しめ、昔の押し入れのようにわくわくする空間でもあります。お友達が遊びに来たときにも、自然とこの空間が集まる場所になっているそうです。
さらに、クローゼットの奥にはご主人の書斎も設けています。書斎はすこし籠もれるような設計にしていますが、壁で閉じるのではなく、建具を活用することで視線が抜け、気配がゆるやかにつながります。リモートワーク中は、クローゼット越しに子どもが遊ぶ様子や、窓の先に広がる外の景色が目に入り、ほどよく家族の気配を感じられるつくりです。
子どもにとって秘密基地のようなクローゼットは、籠りながらも、家族と繋がる大切な場所でもあります。
Photo : Yohei Sasakura